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「屋根の上のヴァイオリン弾き」(日生劇場10月24日「昼の部」)
実に,5回目の観劇である 1回目は,森繁久彌氏のテヴィエ(主役)だった もう20年以上も前のことである 森繁版は,まさに「森繁節,全開!」 同氏の圧倒的な存在感 そして,増田喜頓氏,安田信氏,上条恒彦氏など名だたる名バイプレイヤーが脇を固め,まるで豪華客船のような贅沢な舞台だった 2,3回目は,西田敏行氏のテヴィエ 観客が抱いている「テヴィエ=森繁」という出来上がったイメージの払拭という厳しい状況のなかで (「ジェームズ・ボンド=ショーン・コネリー」という状況に似ていたかも) 「西田テヴィエはここが違う」という独自色を出そうという意気込みが感じられた 西田版は,頑固さを抑えた優しいテヴィエ像を描こうとしていたようである そして,市村正親氏の登場である 前回初めて市村版を観たとき,まず視覚的な変化に驚いた 舞台の奥に「坂道」が設けられたのだ この「坂道」は,まるで歌舞伎の「花道」のようである この「坂道」のおかげで舞台が立体的になり,表現方法が豊かになり,役者の登場・退場が栄え,また,ヴァイオリン弾き役の絶好の居場所となった そしてなんと,この「坂道」の下にオーケストラ・ビットが隠されているのだ 素晴らしい! (「これで,最前列の客席にもお客を入れられる」という営業的なメリットも見過ごせない!) 市村版は,なんといっても楽しい オープニングの「伝統(しきたり)」のシーンから,市村ワールドに引き込まれる 遅れてきて席につこうとする客をいじったりするのだが,これが軽妙! この作品は,後半急速に悲劇色が強まるのだが,市村版は必要以上に湿っぽくならない 現代の気質に合わせているのかもしれない 今回は,前回にもまして楽しかった 仕立屋のモーテル役の植本潤氏が好演 この役は,前半は弾けた演技,後半は落ち着いた演技が要求される重要な役だが,非常に良かった 次女のホーデル役の笹本玲奈氏も良い テヴィエの妻のゴールデ役の鳳蘭氏のど派手な演技はご愛嬌 市村氏はいろいろコチョコチョやっているので,是非,前の方の席で観るのがお勧め ちなみに今回は,1階H列の5,6番という「神様サイド」のちょうど良い席だった (「神様サイド」とは,劇中,テヴィエが神様に話しかける下手側の席のこと・・・と,勝手に言っているだけで一般的な呼び名ではないので注意) 今度はいつになるか,誰がやるのかわからないけれど,今から次回公演が楽しみな大のお気に入りの作品である 追伸 と言いつつ待ちきれず,一昨日の28日に,もう一回観に行ってしまいましたとさ 加藤茶氏じゃないけれど,「あんたも好きねぇー」(古っ!) ~次回の観劇記は,ど迫力の劇団四季版「コーラスライン」~ PR |
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